研究室受入れに関して

研究室について

  • 私の研究室では、様々な社会経済的政策課題に関して、実証(応用)ミクロ経済学的アプローチを用いた研究を行っています.
  • 実証(応用)ミクロ経済学とは、ミクロ経済学の基礎に基づいた経済学的疑問に対し、経済理論に基づいたモデルを考え、データ構造を理解した上で、厳密な計量経済学的な手法を用いて研究を行う学問分野です.伝統的なミクロ理論からの乖離を把握する事を目的とした行動経済学的な研究テーマも含みます.誘導系推定・構造推定いずれも対象とします.
  • 私自身の主な研究分野は、交通と環境の経済学という分野ですが、ゼミ生は、医療・教育・労働・産業組織・イノベーションなど、実証ミクロ経済学のアプローチを用いて研究出来る分野であれば受入れます.詳しくは、下記「受け入れ条件」を参照ください.
  • 私の研究室は「政策・プログラム評価研究室」に属しており、様々な面で、牛島研究室と協働します.
  • 私自身の直近の研究テーマ:①自動車市場の需要構造と最適政策の設計、②自動車産業の技術変化、③非都市部の交通システムとライドシェア、④労働時間の構造問題、等.

進路指導に関して

研究指導に関してはとても厳しいですが、その代わり、頑張ってついてきてくれる学生には、良い就職先ないし進学先が見つかるよう親身にアドバイス・サポートをします.以下は、私の上智時代の実績です(但し、上智ではゼミが有りませんでしたので、私の講義で経済学を好きになって、研究室に良くアドバイスを受けに来ていた学生達の実績です).

  • 就職先:Barclays証券, ゴールドマン・サックス証券, メリルリンチ証券, みずほ証券, 三菱東京UFJ銀行, 東京海上, 三井物産, 電通, フラップ・ジャパン, セールスフォース, PWC, Deloitte Consulting, KPMG Consulting, IBM, グラクソ・スミスクライン, JAL他
  • 進学先:Boston University(修士), 東京大学(修士), Warwick University(修士)

受入れ条件

  • 良い経済学的疑問を持っていること.「~を勉強したい」という理由で志望しないでください.勉強は講義や独学で行うもの、私の研究室は研究を行う所です.但し、良い論文の書き方は、講義や独学では学べないので、研究室できちんと指導します.
  • 学部(学類)レベルのミクロ経済学・計量経済学の基礎を理解していること.
  • データを自分で収集する手間を惜しまないこと.
  • 統計ソフトStata及びMatlabを使って計量分析を行いますので、プログラムを自分で学ぶ努力を厭わないこと.
  • 下の「良い研究とは」及び「目標とすべき学術誌」を読み、ゼミ生全員が目指すべき目標として理解していること.

私の研究室に興味のある学類生及び修士の学生は、上記のチェックリストを参照した上で、次の三点を ykonishi[at]sk.tsukuba.ac.jp 宛にメールをしてください.博士の受け入れ希望の場合には、下記に加えて、修士論文ないし現在研究中のテーマの初稿(ドラフト)を送ってください.

  1. 「興味のある経済学的疑問」と「その疑問に関して、どのように研究したいと考えているのか」
  2. 学部(学類)のミクロ経済学・計量経済学の成績及び出身大学・学部(学類)名.これらの科目を履修していない場合は、数学・統計学系の成績.絶対に嘘をつかないでください.受け入れ後、虚偽が判明した場合は、受入れを取り下げます.
  3. 現時点で使用出来る統計ソフトやプログラミング言語.

良い研究とは

一般に、良い研究は以下の三つの条件を備えています(私の個人的意見では無く、トップの研究者の共通認識です)。

1.汎用性の高い新しい知見

2.学術的及び政策的に重要な知見

3.科学的根拠(理論・実証)に基づく正しい知見

これらの条件から、良い研究とは社会的貢献度の高い研究と言い換えることも出来るかも知れません。基本的に、これら三つの要件を満たしている研究は、AER、Econometrica、JPEなどのA+ランクのトップの一般誌(General-interest Journal)にほぼ間違いなく受理されます。逆に言えば、トップの学術誌に受理されない論文は、上記のいずれかの要件を満たしていないという事になります。例えば、Economics Letters, Empirical Economics, Economic InquiryなどのB+~A-ランクの学術誌に掲載される場合には、3の要件は満たしているけれども、1と2の要件を満たしていないというケースが多く見られます。また、トップの一般誌では無く、専門分野の学術誌(Field Journal)に掲載される場合には、1の「汎用性の高さ」で評価が下がる為、専門誌に掲載される事になります。例えば、マーケティング分野の専門誌にJournal of Marketingが有りますが、マーケティング分野での新しい知見であるけれどもマーケティングの専門家でない経済学者にも有用な知見を提供するような研究は、トップの一般誌に掲載される可能性が高くなりますが、より狭くマーケティング分野の専門家にとって有益な知見の場合には、Journal of Marketingに掲載される可能性の方が高くなります。今日の経済学は、ここ二十年ほどでかなり専門化が進みましたので、労働経済学、金融経済学、医療経済学、開発経済学、環境経済学など、経済学の各分野での専門の学術誌が存在し、各分野のトップの専門誌は基本的にAランクと評価されます。さらに、一般誌か専門誌かに関わらずランキングの低い学術誌は、そもそも3の要件を満たさない正確性に欠ける知見が掲載される可能性も高くなります。例えば、実証研究において仮説をデータで検証する作業を行う際には、膨大な労力と計量経済学のスキルが不可欠となり、変数の内生性の問題を丁寧に対処していく必要があるのですが、トップの学術誌でない場合には、多少お茶をにごす形で万全の保障が無くても掲載される可能性が高くなります。

目標とする学術誌

研究とは単に面白いからやるものでは無く、社会に役立つ為にするものだと私は信じています。社会に役立つ研究である為には、単に自分が面白い・正しいと思うだけでなく、専門家・学術誌の査読者を通して、上述の1~3の尺度から社会的貢献度が高いと判断される必要があると思っています。よって、私の研究室に所属するゼミ生は、それぞれの専門分野の Top Field Journal 以上の学術誌への投稿を目的として共有して頂きます。但し、実証ミクロ経済学の分野で、学類・修士のレベルで Top Field Journalに受理されるケースはほとんど有りませんので、あくまで目標です。ですが、Top Field以上を目指して努力をしている人とそうでない人との間には、数年間で、実力に大きな差がつきます。研究室を卒業する時点で、その「差」を認識できるぐらい頑張って欲しいと思います。

環境経済学の場合:私は環境経済学の分野で研究を行っていましたから、環境経済学における専門誌の例で説明しますと、以前は、Journal of Environmental Economics and Management (JEEM)がトップでしたが、2014年からJEEMがアメリカ環境資源経済学会の正規の学術誌で無くなり、Journal of the Association of Environmental and Resource Economists(JAERE)が代わりにトップの学術誌となりました。また、他の一般誌と差別化する形で出来たAmerican Economic Journal(AEJ)も魅力的なOutletです。また、私の個人的によく知る環境経済学者は、Journal of Industrial Economics や Journal of Public Economics などの他分野の Top Field Journal にも論文を持っています。これらの学術誌は、欧米のトップの大学でも、Aランクとして評価されますので、欧米の研究者にも良い研究として認識されます。

その下の学術誌としては、American Journal of Agricultural Economics, Land Economics, Water Resources Research, Resource and Energy Economics, Environmental and Resource Economics, Energy Economics, Energy Journal, Ecological Economics, Environment and Development Economics などが有ります。残念ながら、経済学者の間では、JAERE、 JEEM、AEJ ほど高い評価は得られませんが、環境経済学者には十分認知されている学術誌ですし、たとえ日本でトップの大学・大学院を卒業していても、指導教授の助け無しにこれらの学術誌に掲載できるレベルまでもっていくのはそれほど容易では有りません。

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